第22問 質権
第22問 質権について
質権について、次の選択肢が、それぞれ正しいか否かを答えなさい。
1.動産を目的として質権を設定する場合、質権設定契約は当事者の合意のみで成立し、質権設定契約が法的に有効に成立するために当該動産の引渡しは不要である。
チェック!
誤り
質権の設定は、債権者にその目的物を引き渡すことによってその効力を生ずるとされていることから(民法344条)、質権設定契約を締結したのみでは効力を生じず、効力発生のためには目的物の占有を現実に債権者に移転する必要がある。
2.債務者に対して貸金債権を有する債権者が、債務者の有する動産に質権の設定を受けたが、債権者は、貸金債権の弁済を受けられなかったため、質権を実行した。この場合において、当該債務者に対して担保権を有しない他の債権者が存在するときは、質権を有する債権者は、当該他の債権者との間で、それぞれの債権額に応じて按分された額について自己の債権を回収することができる。
チェック!
誤り
質権者は、その債権の担保として債務者または第二者から受け取った物を占有し、かつ、その物について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有するものとされており(民法342条)、質権は優先弁済的効力を有している。
3.動産を目的として質権の設定を受けた後、質権者は当該質権の被担保債権を第三者に譲渡した。この場合、当該質権は、附従性により消滅する。
チェック!
誤り
質権の被担保債権が他の者に移転した場合には、質権もその者に移転するものとされている。民法上、明文の規定はないが、担保物権一般に共通している被担保債権を担保するという目的からして当然のこととされており、担保物権のこのような性質を随伴性という。
4.民法上、債権を目的として質権の設定を受けた質権者は、質権の目的である債権を直接取り立てることができる。
チェック!
正しい
質権者は、質権の目的である債権を直接に取り立てることができ(民法366条1項)、債権の目的物が金銭であるときは、質権者は、自己の債権額に対応する部分に限り、これを取り立てることができる(民法366条2項)。