第26問 私法の基本原理
第26問 私法の基本原理について
私法の基本原理について、次の選択肢が、それぞれ正しいか否かを答えなさい。
X社の従業員Aは、X社の研究施設を利用して新技術を発明した。この場合、以下の記述は正しいか。
Aが、本件発明について特許出願をし特許を受けるためには、本件発明が産業上利用可能性、新規性および進歩性を有する必要がある。
正しい
特許要件は、産業上利用可能性、新規性および進歩性の3つである(特許法29条)。
X社の従業員Aは、X社の研究施設を利用して新技術を発明した。この場合、以下の記述は正しいか。
Aが本件発明につき特許出願をした後、第三者Bが本件発明と同じ内容の発明につき特許出願をした。この場合において、BがAより先に発明を完成させていたときは、特許法上、Bのみがその発明について特許を受けることができる。
誤り
複数の者が、それぞれ別個独立に同一内容の発明を完成させてそれぞれが特許出願をした場合、日本の特許法においては先願主義が採られており、最も早く出願した者が特許を受けることができる(特許法39条1項)。
X社の従業員Aは、X社の研究施設を利用して新技術を発明した。この場合、以下の記述は正しいか。
本件発明が特許法上の職務発明に該当し、Aが本件発明について特許を受けた場合、X杜には、本件発明について通常実施権が認められる。
正しい
職務発明において、特許を受ける権利は従業員に属するため、従業員が出願して特許権を取得することが可能である。ただし、従業員が特許権を取得した場合、その従業員が属する企業は、当該特許権に対し通常実施権が認められる(特許法35条1項)。
X社の従業員Aは、X社の研究施設を利用して新技術を発明した。この場合、以下の記述は正しいか。
X社が本件発明につき特許を受けた場合において、第三者であるY社が本件発明をX社に無断で実施し、X社の特許権を侵害しているときは、X社は、Y社に対しその侵害行為の差止めを請求することができる。
正しい
他人が特許権を有する発明を無断で実施する行為は、特許権の侵害行為となる。特許権者は、特許権の侵害行為に対して、差止請求(特許法100条)のほか、損害賠償請求(民法709条)、信用回復措置請求(特許法106条)、不当利得返還請求(民法703条)をすることができる。