第12問 不法行為
第12問 不法行為について
不法行為について、次の選択肢が、それぞれ正しいか否かを答えなさい。
1.清掃会社であるA社の従業員Bが、高所でピルの窓ガラスの清掃業務中に、不注意で清掃用具を落としたところ、その下を通行中のCにその清掃用具が当たり、Cは重傷を負った。この場合、Cは、原則として、A社に対して、使用者責任に基づく損害賠償を請求することができる。
チェック!
誤り
ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う(民法715条1項)。本肢において、Bは、不注意によって工具を落下させCに重傷を負わせているから、Cに対して不法行為責任を負う。そして、A社はBとの間に使用関係があり、かつBの不法行為はA社の業務としての作業中に生じたものであって「事業の執行について」Cに損害が生じたといえるから、原則として、A社はCに対して使用者責任を負う。
2.Aが、過失により自転車をBに衝突させ、Bに対して不法行為に基づく損害賠償責任を負う場合、AのBに対する損害賠償は、金銭によるのが原則である。
チェック!
誤り
不法行為による損害賠償の方法には、債務不履行による損害賠償の方法の規定が準用され、別段の意思表示がないときは、金銭をもってその額を定めるとされている(民法722条1項、417条)。
3.AはBに暴行を加え負傷させた。Aが未成年者であれば、Aに責任能力があっても、AはBに対して不法行為に基づく損害賠償責任を負わない。
チェック!
正しい
未成年者であっても、自己の行為の責任を弁識するに足りる能力(責任能力)を備えている場合には、不法行為責任が成立し得る。
4.AがBに暴行を加え負傷させたため、Bは入院し仕事を休んだ。この場合、Bは、現実に支出した治療費に加え、得られるはずであったのに仕事を休んだことにより得られなかった収入についても、Aに対して不法行為に基づく損害賠償を請求することができる。
チェック!
誤り
不法行為責任に基づく損害賠償の対象となる損害の範囲は、不法行為と因果関係のある損害であり、被害者において現実に支出せざるを得なかった費用のみならず、不法行為がなければ得られたはずの利益も含まれる。