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第9問 正誤問題

第9問 正誤問題について

正誤問題10問について、次の選択肢が、それぞれ正しいか否かを答えなさい。

1.使用者が労働者に支払う賃金の額に関しては、最低賃金法により、その最低基準について規制されている。
チェック!

正しい
賃金の低廉な労働者について、賃金の最低額を保障することにより、労働条件の改善を図り、もって、労働者の生活の安定、労働力の質的向上および事業の公正な競争の確保に資するとともに、国民経済の健全な発展に寄与することを目的として、使用者が労働者に支払う賃金の額について、最低賃金法により、その下限として最低賃金額が定められている。

2.株式会社では、所有と経営が分離されているため、会社法上、株式会社の株主は、当該株式会社の取締役に就任することができない。
チェック!

誤り
株式会社においては、株主総会で選任した取締役などに経営を一任することとし、株主は必ずしも株式会社の業務執行など会社経営に関与しないものとして構築されており、これを所有と経営の分離という。しかし、この意味は、株主が経営に関与しなくてもよいという趣旨であって、関与してはならないということではないから、会社法上、株主が取締役に就任することは何ら制限されていない。

3.商人が、その営業の範囲内で、他の商人との間で締結した委任契約に基づき、委任を受けた法律行為を行った。この場合、両者の間に報酬を支払う旨の特約がない限り、受任者である商人は、委任者である商人に報酬を請求することができない。
チェック!

誤り
民法上は、委任契約は無償であることが原則であり、受任者は、特約がなければ委任者に対して報酬を請求することができないが(民法648条1項)、この点、商法に特則が設けられており、商人がその営業の範囲内において他人のために行為をしたときは、相当な報酬を請求することができるとされている。

4.債権者は、債務者が弁済をしない場合、自らの実力による権利の行使である自力救済によってその有する債権を回収することは認められず、法律で定められた強制執行手続により、国家機関の力で債権の満足を得るのが原則である。
チェック!

正しい
自力救済は原則として禁止されており、債務不履行があった場合には、債権者は訴訟等を提起して裁判所に権利の確定を求めた上で、民事執行法等に定める方法でやはり裁判所の司法権の行使を通じて権利の実現を図ることになる。

5.AおよびBが、Cに対し、100万円の連帯債務を負っている場合、Aは、債務の額を連帯債務者の数で按分した額である50万円についてのみ、Cに弁済する責任を負う。
チェック!

誤り
数人が連帯債務を負担するときは、債権者は、その連帯債務者の一人に対し、または同時にもしくは順次にすべての連帯債務者に対し、全部または一部の履行を請求することができるものとされている(民法432条)。本肢では、AおよびBが、Cに対し、100万円の連帯債務を負っているというのであるから、AもBも、Cに対して100万円を弁済する責任を負っていることになる。

6.A社の取締役BはC市における公共工事の指名競争入札に関し、A社に対して便宜を図ってもらうため、C市の担当者Dに多額の金銭を供与した。この場合、Bには贈賄罪、Dには収賄罪が成立し得る。
チェック!

正しい
公務員が、その職務に関し賄賂を収受したときには収賄罪(刑法 197条以下)が成立するが、その一方で、かかる賄賂を供与し、またはその申込みもしくは約束をした者についても、贈賄罪(刑法 198条)が成立し、3年以下の懲役または250万円以下の罰金に処せられる。本肢では、A社の取締役であるBが、C市における公共工事の指名競争入札に関し、A社に対して便宜を図ってもらうため、C市の担当者Dに多額の金銭を供与したというのであるから、Bには贈賄罪が、Dには収賄罪がそれぞれ成立し得る。

7.夫婦が離婚した場合、夫婦の同居、協力および扶助の義務は、将来に向かって消滅する。
チェック!

正しい
夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない(民法752条)とされている。離婚により夫婦関係が解消されれば、かかる義務はそれ以降消滅することは明らかであるが、婚姻後離婚するまでの間に両者が夫婦関係にあったことが離婚により覆されるもので、はないから、あくまでもかかる義務は将来に向かつて消滅するのみであって、過去に遡ってなかったものとなるのではない。

8.契約当事者間において、法律の規定中の強行法規と異なる特約が定められた場合、当該特約は強行法規よりも優先して適用される。
チェック!

誤り
強行法規とは、法令の規定のうち、規定に反する当事者の合意がある場合であっても、当該合意の効力を認めずに法令の規定どおりに適用されるものをいう。したがって、当事者間で強行法規と異なる特約が定められたとしても、強行法規が優先して適用されるのであり、当該特約の方が優先して適用されるのではない。

9.未成年者Xは、家電販売店Yで大型液晶テレビを購入するにあたり、法定代理人Zの同意を得られなかったため、自己を成年者であると偽るなどの詐術を用い、これを信じたYとの間で売買契約を締結した。この場合、XおよびZは、ともに当該売買契約を取り消すことができない。
チェック!

正しい
制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、制限行為能力を理由として、その行為を取り消すことができない(民法21条)。

10.簡易裁判所の裁判所書記官に支払督促の申立てを行うためには、債務名義が必要である。
チェック!

誤り
支払督促とは、簡易裁判所の書記官に対して支払督促の申立てを行い、支払督促を債務者に発する手続である(民事訴訟法382条 383条1項、386条1項)。仮執行宣言を付した支払督促に対して期間内に督促異議がない、あるいは督促異議の申立てを却下する決定が確定したときは、支払督促は確定判決と同一の効力を有する(民事訴訟法396条)。このように、支払督促とは、債務名義を取得するための手続であって、申立てに債務名義が必要とされてはいない。

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