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第15問 抵当権

第15問 抵当権について

抵当権について、次の選択肢が、それぞれ正しいか否かを答えなさい。

1.

A社は、B社に対して有する貸金債権の担保として、B社が所有する甲建物に抵当権の設定を受け、その登記を経た。この場合、以下の記述は正しいか。

甲建物は、B社が第三者から賃借している乙土地上に建てられている。この場合、本件抵当権の効力は、甲建物のために設定された乙土地の賃借権には及ばない。

チェック!

誤り
借地上に存在する建物について抵当権の設定がされた場合には、抵当権の効力は当該建物のために設定された土地の賃借権に及ぶものと解されている(民法370条、最判昭和40年5月4日民集19巻4号811頁)。

2.

A社は、B社に対して有する貸金債権の担保として、B社が所有する甲建物に抵当権の設定を受け、その登記を経た。この場合、以下の記述は正しいか。

B社がA社に借入金の一部を弁済した場合、本件抵当権は、甲建物の全体に対してその効力が及ぶのではなく、借入金に対する弁済をした金額の割合に応じて縮減する。

チェック!

誤り
抵当権者は、被担保債権の一部について弁済を受けた場合であっても、被担保債権の全部の弁済を受けるまでは、抵当目的物の全部についてその権利を行使することができる(民法372条、296条)。これを抵当権の不可分性という。

3.

A社は、B社に対して有する貸金債権の担保として、B社が所有する甲建物に抵当権の設定を受け、その登記を経た。この場合、以下の記述は正しいか。

本件抵当権の設定登記がなされた後に甲建物が火災で焼失したが、B社は、甲建物に火災保険を付しており火災保険金請求権を取得した。この場合、A社は、物上代位権の行使として、B社への火災保険金の払渡しの前に当該請求権を自ら差し押さえて、自己の貸金債権を回収することができる。

チェック!

正しい
抵当権は、抵当目的物の売却、賃貸、滅失または損傷によって債務者が受けるべき金銭その他のものに対しても行使することができる(物上代位性、民法372条、304条)。したがって、本問のように抵当目的物が火災によって滅失した場合には、抵当権者は火災保険金請求権に対して物上代位して、火災保険金を抵当権の被担保債権への弁済に充てることができる。ただし、抵当権者が物上代位をするためには、債務者に対して支払いがされる前に差押えをすることを要する(民法304条 1項但書)。

4.

A社は、B社に対して有する貸金債権の担保として、B社が所有する甲建物に抵当権の設定を受け、その登記を経た。この場合、以下の記述は正しいか。

B社は、本件抵当権の設定登記がなされた後に、第三者であるC社から金銭を借り入れた。この場合、B社は、C杜に対して負う借入金債務の担保として、もはや甲建物に抵当権を設定することはできない。

チェック!

誤り
同一の抵当目的物に対して複数の抵当権を設定することは可能である。複数の抵当権が設定された場合には各抵当権に順位が付され、仮に抵当権が実行された場合には、順位が上位のものから順に配当が行われることとなるが、この順位は抵当権設定契約の先後ではなく登記の先後による(民法373条)。

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