1週間で受かる ビジネス実務法務検定3級 過去問演習

1週間で受かる ビジネス実務法務検定3級 過去問演習 - ビジネス実務法務検定3級に1週間で受かるように問題演習ができるサイトです。

第14問 損害賠償請求

第14問 損害賠償請求について

損害賠償請求について、次の選択肢が、それぞれ正しいか否かを答えなさい。

1.

路線バスの運転手であるAは、その勤務先であるB社の所有するバスに乗務中、過失によりハンドル操作を誤って、対向車線を走行中のCの乗用車に接触した。この事故により、B社のバスとCが運転していたC所有の乗用車いずれも破損し、Cとバスの乗客Dが負傷した。この場合、以下の記述は正しいか。

B社は、Aが本件事故を故意に生じさせたわけではないため、CおよびDに対し、自動車損害賠償保障法(自賠法)上の運行供用者の責任を負うことはない。

チェック!

誤り
自動車損害賠償保障法上の運行供用者の責任については、自己のために自動車を運行の用に供する者がその運行によって他人の生命または身体を害したときは原則として損害賠償責任を負い、例外的に、 ①自動車の運行に関し注意を怠らなかったこと、②被害者または運転者以外の第三者に故意または過失があったこと、③自動車に構造上の欠陥または機能の障害がなかったことを証明したときは、責任を免れるものとされている(自動車損害賠償保障法3条)。したがって、B社が自らの事業としてパスを運行していた本肢の事例では、B杜はCおよびDに対し、自動車損害賠償補償法上の運行供用者の責任を負う。

2.

路線バスの運転手であるAは、その勤務先であるB社の所有するバスに乗務中、過失によりハンドル操作を誤って、対向車線を走行中のCの乗用車に接触した。この事故により、B社のバスとCが運転していたC所有の乗用車いずれも破損し、Cとバスの乗客Dが負傷した。この場合、以下の記述は正しいか。

AのCに対する民法709条の不法行為責任が成立する場合には、Cは、B社に対し、民法715条の使用者責任を追及することはできない。

チェック!

誤り
ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う(使用者責任、民法715条1項)。そして、使用者責任は、あくまでも被用者についての責任を使用者にも拡張するもの(代位責任、民法715条3項)であるから、使用者責任が成立するためには前提として被用者について不法行為責任が成立することが必要であり、被用者に不法行為責任が成立しない場合には、使用者責任もまた発生しない。

3.

路線バスの運転手であるAは、その勤務先であるB社の所有するバスに乗務中、過失によりハンドル操作を誤って、対向車線を走行中のCの乗用車に接触した。この事故により、B社のバスとCが運転していたC所有の乗用車いずれも破損し、Cとバスの乗客Dが負傷した。この場合、以下の記述は正しいか。

本件事故の発生についてCにも過失があった場合、CからB社に対する民法715条の使用者責任の規定に基づく損害賠償請求訴訟において、裁判所は、Cの過失を考慮して過失相殺をし、損害賠償の額を定めることができる。

チェック!

正しい
被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる(過失相殺、民法722条2項)。その上で、使用者責任は肢bで述べた通り、被用者の不法行為責任を使用者に拡張するものであるから、被用者の不法行為責任について過失相殺が観念されるのと同様に、使用者責任についても、被害者に過失があるときは過失相殺を適用し、被害者の過失部分を控除して損害賠償の額を定めることができる。

4.

路線バスの運転手であるAは、その勤務先であるB社の所有するバスに乗務中、過失によりハンドル操作を誤って、対向車線を走行中のCの乗用車に接触した。この事故により、B社のバスとCが運転していたC所有の乗用車いずれも破損し、Cとバスの乗客Dが負傷した。この場合、以下の記述は正しいか。

Dは、本件事故について、民法415条の債務不履行責任と民法715条の使用者責任の両方の成立要件を充たす場合、B社に対し、いずれの責任でも自由に選択して損害賠償を請求することができる。

チェック!

正しい
民法415条の債務不履行責任と民法715条の使用者責任の両方の成立要件が充たされる場合には、被害者は、加害者に対し、いずれかを任意に選択して行使することができるとされている。したがって、Dは、B社に対し、いずれの責任でも自由に選択して損害賠償を請求することができる。

1m
PAGETOP